鉄スクラップの加工方法と国内・海外への流通状況とは？

鉄スクラップは加工処理を施した後、国内で鉄鋼生産の原料になり、余剰分は海外へ輸出されます。こちらでは、鉄スクラップの加工方法と国内での流通ルート、海外への輸出について解説します。

鉄買取業者が回収した鉄スクラップは、そのまま資源として使用できるわけではありません。リサイクル原料として再利用しやすくするために、加工処理を施すのが一般的です。

鉄スクラップを回収した後、必要に応じて不純物を取り除き、加工処理を施して適切なサイズ・形に切断、プレス圧縮を行う事で、初めて資源として活用できます。様々な場所から排出される鉄スクラップは、その種類や性質、排出状態によって処理方法が異なります。

鉄スクラップは主に以下のような方法で加工され、製鉄メーカーに出荷してリサイクルされます。

以上のような加工方法の違いにより、鉄スクラップの規格が定められます。加工された鉄スクラップは製鋼原料として、国内だけでなくアジアをはじめとする世界各地に輸出され、リサイクル原料として幅広く活用されるのです。

鉄スクラップを回収する業者は寄せ屋といい、寄せ屋は市中スクラップを回収します。寄せ屋が回収した鉄スクラップは加工され、その一部は海外に輸出されます。

国内での鉄スクラップの流通ルートは、電気炉で溶解された後に、鉄鋼の原料として新しい鉄に生まれ変わります。鉄鋼として再利用される場合は、棒鋼やH型鋼として製品化される事が多く、薄板に加工される事もあります。

鉄スクラップの発生は増えており、日本の鉄鋼の生産では欠かせないものになっています。日本は国内で天然資源がほとんど採掘できず、鉄鋼の原料になる鉄鉱石はほぼ100％輸入に頼っています。鉄スクラップを再利用すると鉄鉱石の輸入量を減らす事ができ、日本の国益にも大きく貢献します。

国内で回収される鉄スクラップの量は年間3,000万トン以上にも上り、日本国内で消費されるだけでなく、海外へと輸出されています。

海外への輸出は、寄せ屋が独自に開拓したルートや総合商社を利用して行われます。鉄スクラップの輸出先は韓国や中国、ベトナムなどのアジア諸国が中心です。

財務省の貿易統計によると、2016年には863万4,720トンが海外に輸出されており、日本の鉄スクラップの輸出量は世界でもトップクラスです。鉄スクラップの輸出量が増えている理由は、国内需要が減退している中で余剰分を海外に輸出する事により、国内での鉄スクラップの値崩れを防ぐためです。